望月桂 自由を扶くひと 展覧会サイト
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展覧会について

生涯をかけて自由を追い求めた望月桂(1886-1975)は、現代アートの源流にいる人物の1人です。

現在の長野県安曇野市に生まれた望月は、東京美術学校に進み、荻原守衛(碌山)らに影響を受けました。卒業後は普通の画家にならず、大正時代の東京で一膳飯屋「へちま」をひらきます。そこは誰もがアーティストになれる場でした。望月は斬新な未来派の技法で挑発的な絵を描き、「黒耀会」を組織して過激なアンデパンダン展を開催。美術のみならず演劇、音楽、漫画も展開しました。その鮮烈な軌跡は、アートの歴史を書き換え、文学史や社会運動史にも今までにない視覚的イメージを与えるものです。戦後は郷里で農地改革や女子校の美術教育に携わり、また新たな自由を追求しました。もっとも、画壇で活動しなかったため、長らく美術史では知られないままでした。

本展は、2025年に原爆の図丸木美術館(埼玉県)で開催された同名展覧会の凱旋となります。近年ご遺族から安曇野市に寄託いただいた資料のうち、安曇野市美術館で絵画や文書を中心に約140点を、安曇野市文書館で紙資料を中心に一部を紹介し、碌山美術館で小企画を行います。思想弾圧、そして戦争。先の見えない時代を痛快に生き抜こうと奮闘した望月と仲間たちの精神は、驚きをもって、現代の私たちを取り巻く世界にも風穴を開けてくれるはずです。


開催概要

会期:2026年7月4日(土)〜8月30日(日)
会場:安曇野市美術館
開館時間:9:00〜17:00(入館は16:30まで)
※7月11日(土)、8月11日(火・祝)は20:00まで開館(入館は19:30まで)

休館日:月曜日(7月20日は開館)、7月21日(火)

観覧料:
・一般 520円
・大学生・高校生 310円
・団体(20名以上)
 一般 410円
 大学生・高校生 200円
※中学生以下、障がい者手帳をお持ちの方と介助者1名は無料


見どころ

1|アート、文学、社会運動の歴史を書き換える作品資料

望月の作品は、爆発や回転が描かれたダイナミックな絵ばかりではありません。
今日の目で見れば、「へちま」の経営のような、生活と芸術と革命を一つにする活動もまた、彼の作品として捉えられるでしょう。さらに、アナキスト大杉栄によるヘタウマな自画像、小説家有島武郎と望月の合作、画家藤田嗣治も参加した漫画雑誌『バクショー』など、ユーモアと情熱に満ちた作品資料が並びます。

2|コレクティブ(集団)によるコレクティブの発掘

本展は、美術館学芸員、安曇野地域の関係者、美術・文学・社会運動などの研究者、アーキビスト、ジャーナリスト、編集者、アーティスト、デザイナーらからなるコレクティブ「望月桂調査団」(2022年~)による発掘の成果です。望月の思想と活動を理解するにあたり、会場には、出品作の解説、ロゴ・タイトル(風間サチコ)、展示デザイン(卯城竜太)、映像(松田修)など多くの補助線が引かれています。

3|安曇野ならではの展示

安曇野で新たに加わる重要な作品の一つは、林倭衛《出獄の日のO氏》(長野県立美術館蔵)です。昨年の展示では並べきれなかった資料も幅広く紹介します。今回は、望月も一時勤めたことがある平凡社から図録を刊行し、限定グッズも用意します。何より、安曇野で彼の作品資料に出会うことで、大きな山並みの美しさとそれを乗り越えたいと願う意志について、実感を持って見えてくることでしょう。


キーワード・人名

アナキズム
自由・平等・相互扶助を理念とする思想。歴史の中で平和主義からテロリズムまで様々な形をとったが、現在は共生やライフスタイルの思想として再評価が進む。

アンデパンダン展
審査や賞を設けず、誰でも出品できることを理念とした展覧会

関東大震災
1923年9月1日に発生し、東京・横浜を中心に甚大な被害と社会的混乱をもたらした。憲兵が大杉栄らを虐殺し、市民の自警団が多数の朝鮮人を虐殺した。

旧制松本中学校
長野県松本市にあった旧制中学校で、望月桂を含め多くの知識人や文化人を輩出。松本深志高等学校の前身。

黒耀会
1919年末に望月桂が組織した芸術団体。大杉栄などの社会運動家、有島武郎などの文学者、一般の労働者も参加した。演劇やアンデパンダン展を催し、1922年頃に解散。

大逆事件(幸徳事件)
1910年明治政府が幸徳秋水らを天皇爆殺計画の容疑で逮捕・処刑した社会主義弾圧事件。1911年に幸徳ら12名は絞首刑となった。

東京美術学校
1887年に設立された官立美術教育機関。東京藝術大学美術学部の前身。

農地改革
戦後、GHQの指導のもと、日本政府が地主制を解体して小作農に農地を分配した社会改革政策。

松本松南高等学校
かつて長野県松本市に所在した女子高。1955年から65年まで望月桂が美術教育を担った。

望月桂
1886年(戸籍上は1887年)、現在の長野県安曇野市に生まれる。東京美術学校を経て、大杉栄らとともに黒耀会を結成し、過激な表現を展開。戦後は郷里で活動し、1975年没。

大杉栄
大正期に活躍したアナキズム運動の中心人物で、評論でも知られる。妻・伊藤野枝、甥の橘宗一とともに関東大震災の混乱の中で憲兵に殺された。

岡本一平
大正・昭和期に『東京朝日新聞』で人気を集め、日本の近代漫画文化を切り開いた漫画家。望月桂の東京美術学校同級生。岡本太郎の父。

荻原守衛(碌山)
西洋近代彫刻を学び、早世したものの日本近代彫刻の先駆者となった彫刻家。

小野佐世男
官能的な女性像で知られる漫画家。望月桂にとって東京美術学校の後輩。

堺利彦
社会主義運動の指導者、著述家。大逆事件後は売文社を経営、東京市議にもなった。

宮下太吉
社会主義者、機械工。現在の長野県安曇野市(望月桂の実家近く)で爆弾を製造し、逮捕され、大逆事件の契機となる。

藤田嗣治
パリで活躍し、乳白色の裸婦で国際的評価を得た画家。望月桂の東京美術学校同級生。


展覧会図録・限定グッズ

足立元・望月桂調査団 編
『望月桂 自由を扶くひと』
(平凡社)

・A5判(ソフトカバー)
・176ページ
・ISBN:9784582207453
・2026年6月下旬発売
・価格:3,500円+税

本展にあわせて刊行される図録兼書籍。望月桂の代表作品、関連資料、論考を収録し、その活動を多角的に紹介します。

展覧会うちわ 来場者全員に数量限定でプレゼント

限定Tシャツ 4,000円(税込)Mサイズ、Lサイズ

・へちまデザイン
・大杉栄《入獄前のO氏》

限定トートバッグ 2,500円(税込)

*会場で展覧会図録と同時購入で2,000円(税込)

限定缶バッジ 400円(税込) 4種類

・望月桂《ある日の大杉》
・望月桂《反逆性》
・大杉栄《入獄前のO氏》
・風間サチコ「展覧会ロゴ」

*会場で展覧会図録を購入した方には、缶バッジを1個プレゼントします(絵柄は選べません)。

《反逆性》ノート(A5サイズ) 500円(税込)

ポストカード 150円(税込)
・《稔りの秋》《ある日の大杉》《反逆性》《百姓のよなべ》《こたつ辺》

英語版冊子(非売品、会場限定で貸出・PDF配布)

An English-language booklet featuring a special contribution by Adam Szymczyk is available to borrow at the venue. A PDF version can also be downloaded via the QR code provided at the venue.


関連イベント

日付順


2026年6月6日(土)14:20

口頭発表「文士たちの黒耀会」
有島武郎研究会第79回全国大会 【特集】『白樺』派と〈美術史〉の転回──〈民藝〉と〈アナーキズム〉の視座から──

会場:二松学舎大学 九段キャンパス4号館6階 4061教室およびオンライン
足立元(二松学舎大学)


2026年6月21日(日)13:00

講演「安曇野市文書館と調査団との協働 ―望月桂関係資料目録がむすぶ記録と記憶―」

会場:安曇野市文書館
谷口英理(国立アートリサーチセンター 主任研究員)・山永尚美(東京文化財研究所アソシエイトフェロー)


2026年7月11日(土)13:00〜16:00

シンポジウム「帰ってきた望月桂」

会場:安曇野市美術館
参加費無料(要当日観覧券)
申込不要
定員:約100名(先着順)

第1部 望月桂の凱旋:展示・調査の実践と展望
・足立元(二松学舎大学)「企画趣旨 望月桂の凱旋」
・岡村幸宣(原爆の図丸木美術館)「原爆の図丸木美術館の望月桂展」
・塩原理絵子(安曇野市)「安曇野市の望月桂展」
・武井敏(碌山美術館)「荻原守衛と望月桂」
・エウゲーニア・グディーエバ(文学・社会運動研究者)「平民美術協会と黒耀会」
・大島浩(長野県宝 旧山辺学校校舎)「晩年の望月桂」
・植草学(信濃毎日新聞社)「史料紹介・信毎から」

第2部 望月桂の未来:アーティストとキュレーターが問う
・風間サチコ(アーティスト)
・卯城竜太(アーティスト)
・松田修(アーティスト)
・アンドリュー・マークル(ライター、編集者・翻訳家)
・金秋雨(キュレーター、研究者)
・金井直(信州大学)
・足立元


2026年7月18日(土)13:30〜15:00

ライブラリレーまつもと7月「芸術は誰のもの? 生活と労働の中にユーモアを描いた画家望月桂」

会場:松本市中央図書館 3階視聴覚室
塩原理絵子(安曇野市教育委員会)


2026年7月25日(土)14:00〜17:00

シンポジウム「望月桂のアクチュアリティ〜芸術、関係性、アナキズム」

会場:マツモトアートセンター
登壇者:
・白川昌生(アーティスト)
・千葉真智子(豊田市美術館学芸員)
・足立元
司会:金井直
参加費無料
要申込(先着50 名)
https://forms.gle/g2D4oCZpPmj3XQnW7


2026年7月26日(日)13:00~

講演「手稿がひらく美術史と社会史」

会場:豊科交流学習センターきぼう 多目的交流ホール
足立元(二松学舎大学、望月桂調査団代表)
参加費無料
安曇野市文書館に電話かメールで要申込
詳細はこちらのリンクをこ覧ください。
https://www.city.azumino.nagano.jp/event/bunsho/141110.html

講演スライドPDF(会期中限定公開)


2026年8月1日(土)14:00〜15:30

トーク「岐路に立つアナキスト・モダニズム」

会場:安曇野市美術館
講師:アラン・アントリフ(カナダ・ビクトリア大学/美術史家)
逐次通訳:徳永理彩


2026年8月4日(火)18:00

トーク「創造と破壊の経済について」

会場:東京大学駒場キャンパス
アラン・アントリフ(カナダ・ビクトリア大学/美術史家)
逐次通訳:エウゲーニア・グディーエバ


2026年8月9日(日)13:00~

トーク「金子文子と望月桂 生きることと描くこと」

会場:安曇野市美術館
浜野佐知(映画監督)
山崎邦紀(映画監督・脚本家)
映画「金子文子 何が私をこうさせたか」の監督・脚本家が、望月桂について語ります。


関連展示

安曇野市文書館
「望月桂 自由を扶くひと ─ 犀川凡太郎の人生漫歩 ─」
会期:2026年5月10日(日)〜8月30日(日)

碌山美術館
「荻原守衛と望月桂」
会期:2026年7月4日(土)〜8月30日(日)


アクセス

安曇野市美術館
〒399-8205 長野県安曇野市豊科5609-3
TEL:0263-73-5638

電車でお越しの場合
JR大糸線「豊科駅」より徒歩約10分
JR篠ノ井線「田沢駅」よりタクシー約10分

車でお越しの場合
長野自動車道「安曇野IC」より車で約5分

関連展示を開催している安曇野市文書館碌山美術館にもぜひ足を伸ばしてみてください。
それぞれ距離が少々離れているため、タクシーやレンタサイクルをご利用いただくのが便利です。
安曇野の景色や食事も合わせてお楽しみください(安曇野市観光協会)。

●安曇野市美術館から安曇野市文書館へのアクセス
自転車で約30分
車で約10分

●安曇野市美術館から碌山美術館へのアクセス
JR大糸線「豊科駅」から白馬・大町方面へ2駅乗車、「穂高駅」下車。徒歩7分
車で約10分

●安曇野市文書館から碌山美術館へのアクセス
自転車で約20分
車で約15分


記録・報道

安曇野会場

●安曇野市美術館 フライヤー・ポスター

●安曇野市文書館 フライヤー・ポスター

原爆の図丸木美術館会場

●原爆の図丸木美術館 フライヤー・ポスター

原爆の図丸木美術館「望月桂 自由を扶くひと」(2025年)ウェブサイト

大輪俊江「満を持して故郷の安曇野市美術館へ!「望月桂 自由を扶くひと」展」『CULTURE.NAGANO 長野県文化芸術情報発信サイト』2026年7月31日

「望月桂の描いた「自由」 民衆芸術の運動 先駆者に 戦前 東京で黒耀会結成」『市民タイムス』2026年7月22日

「明科出身の画家 望月桂 市美術館で特別展 しなやかな生き方 魅力 調査団・足立元さんに聞く」『市民タイムス』2026年7月18日

「望月桂の多様な足跡 徐々に光 安曇野・明科出身 社会運動にも携わった画家 地元での展覧会に合わせシンポ」『信濃毎日新聞』2026年7月17日

「明科出身の画家・望月桂 多様な視点で論じる 安曇野でシンポ 調査団メンバーら12人」『市民タイムス』2026年7月12日

「安曇野で「望月桂」凱旋展 「痛快に時代を生き抜いた姿」調査団が発掘」『松本経済新聞』2026年7月8日

「画家・望月桂の足跡辿る 安曇野市で企画展」『市民タイムス』2026年7月5日

「その精神は「世界に風穴」画家・望月桂の作品展 4日から出身地の安曇野市美術館で」『信濃毎日新聞』2026年7月1日

「明科出身の画家・望月桂の資料 重要性を紹介 調査団が安曇野で講演会」『市民タイムス』2026年6月22日

「日本民衆美術の草分け 明科出身の画家・望月桂 地元での足跡紹介 市文書館が企画展」『市民タイムス』2026年5月12日

「作家資料はどう生き続けるか― 令和7年度第8回文化財情報資料部研究会の開催(2026年2月17日)」東京文化財研究所 活動報告、2026年2月

「【第一線の学芸員14人に訊いた】2026年に必ず行きたい「美術展」は?」『文藝春秋』2026年5月号(蔵屋美香氏、薮前知子氏の記事で、2025年のベストに「望月桂 自由を扶くひと」(原爆の図丸木美術館)選出)